日程:2013-05-18~2013-05-19
【第一日】
参加者:鯉渕会員, 川島会員, 内田
場所:
いわき市考古資料館・企画展「いわきの貝塚~未来へのメッセージ~」(2013-04-17~2013-08-25)を見学
・片寄貝塚と森戸(もんじょ)貝塚
→綱取1・2(ローマ数字)期に競合し地理的に正対する貝塚
・西郷貝塚と長孫貝塚
→長孫-は河床に散布。分布上ひとつなぎの貝塚か?ほぼ同時期
・松林貝塚と梅林貝塚
→大越貝塚という同じ呼称であった貝塚。時期が異なる。
・U字状釣針
→大畑貝塚(製作のステップが追認できる諸例が出土),台ノ上貝塚(大畑E区のものと酷似), 松林貝塚
・弘源寺貝塚
→ヤマトシジミを汽水とみなすか、淡水とみなすか、ラグーンの存在ははたして?
・常設展示を見学
・番匠地遺跡
→すのこ状の木材が出土。すのこにトチノミ
・大畑貝塚
→パネルに貝層上面の石棒,シカの頭骨,アワビなどの散布域検出状況が。
※東京都北区西ヶ原貝塚(都史跡再指定調査時)の晩期安行の土坑に落角後の頭骨を生けた事例が存在。
※2012年度の横浜歴史博物館企画展の三殿台遺跡の記録写真に306号住柱穴内貝層下底位に、円礫と鹿角加工品が出土している。この住居は弥生中期であるが、いかにも縄文的な意匠ではないか?
→剥ぎ取りにみる貝層は三浦半島,横浜方面を見慣れた会員にとっては混土率(混砂率?)が高く映る
・貝
→岩礁系、巻貝が多く、外洋に面しているため、ダンベイキサゴがみられる
・13:30より山崎京美先生(いわき短期大学)の講演「貝塚調査で分かったこと」を拝聴
・獣骨、特にイノシシの検討
・異なる緯度の上に横たわり、かつ縄文時代以降絶海となる日本列島は動物地理学的に特色をもつとされている
・イノシシ:本州と稀に韓国にニホンイノシシ, 沖縄の固有種リュウキュウイノシシ(ニホン-より小型)
・島嶼地でイノシシ遺存体の検討
→伊豆大島:下高洞A(早期), 下高洞D(後期~弥生期), 龍の口(中期)
→八丈島:倉輪(前期)
→以上、伊豆諸島のものはリュウキュウイノシシに近い小型のもの
→下高洞Aは頭骨。脳食はないことに注目
→下高洞Dは穿孔した牙。北海道の後晩期に多く出土するものもこの素材か
→但し北海道の例では墓から出土→送りの供物か
・家畜化
・食肉のための家畜化と儀礼の供物としての家畜化
・イヌは、食肉よりも労働力として
・いわきでも骨折したイヌを癒着するまで面倒を見、埋葬した例が出土。
・ドメスティケーションという視点
(※儀礼にも共食するという儀礼もあるとすれば、これは食肉している、ということにはなるが。。)
・別棟にて、整理中の資料を見学
・薄磯貝塚"7層"の動物遺存体を主体とする遺物
・クジラ,イルカ?など海獣骨
・ブダイ,マダイなど魚骨
・シカ,鹿角の角座,イノシシなど獣骨(焼けているものが多い)
・鳥骨も
・土器は僅少(大洞か?)
・2F整理作業室にて職員の皆様のお計らいで人工遺物を拝見させていただく
・今回調査区は二次堆積で最下層が弥生期の層
・7層の人工遺物
・玉(北海道上磯郡知内町湯の里4遺跡の土坑出土物を想起)
・タブレット(良質のシルトの表面に線刻。抽象的なものが大勢だが、区画+充填の構成をもつものも)
※二次堆積の要因は未解明とのこと。こちらの地元で二次堆積の調査例というと、田戸遺跡(1993年調査。市報告第4集(1994.12))の2層(ローマ数字)があり、このケースはプライマリーな3層(ローマ数字)との遺物の帰属や、関東大震災の文献記述などから幾ばくかの把握がなされたものである。
※資料見学に際しましては、館長の樫村さん、整理作業を担当されておられる松嶋さん、竹田さん、千田さんにお世話になりました。ありがとうございます。
【第二日】
参加者:野内会員, 鯉渕会員, 川島会員, 内田
場所:山形県立うきたむ風土記の丘考古資料館→高畠町郷土資料館→大立洞穴→日向洞穴→火箱岩洞穴→一の沢洞穴
・うきたむ風土記の丘
・高畠町押出遺跡
・前期の土器:諸磯b様のものもあれば、"お魚土器"のようなものも。
・掻器,石錐,石鏃,薄片が凝集して出土
・玦状耳飾
・住居復元(15号住居)
・根太を敷いた状態で出土(パネル)
・打たれた杭が住居のプランを構成している(パネル)
・米沢市台ノ上遺跡
・大木8a,8b,9が林立
・高畠町郷土資料館
・日向洞穴・火箱岩洞穴
・土器より石器資料が充実
・石ヶ森遺跡
・後期土器群
・大立洞穴
・手前に祠と洞穴?(別箇のもの)
・岩をくりぬいた切通しをぬけた山腹に開口。内部から湧水とカエルの鳴き声が反響
・洞穴の目前は、耕地と田んぼ、湿地帯
・日向洞穴
・東南から北西に伸びる尾根の南裾に複数開口する洞穴
・切り立った中腹にある洞穴のイメージを覆すもの
・一部報告の出された西地区はその目前の緩斜面(平坦地)に位置するとされる
・火箱岩洞穴
・果樹のハウスの抜けた背後を更に徒歩にて進む
・水量の乏しいせせらぎがありここからカエルの声。せせらぎを逆流し登る
・急峻な崖面に上下2箇所に開口。とはいえ、縦のクラックが著しい
・一の沢洞穴
・前三者とはやや離れたところにあり、むしろ高畠町郷土資料館のはるか背後にあたる
・せせらぎ、というより立派な沢がありこれを渡って尾根裾を登る
・前三者とことなり、急峻な崖面の土手っ腹にまさに亜円形の穴が開いていた